イケメン先生は危険男子でした!?

☆☆☆

ふと気が付いたときには、あたしは見知らぬ車の後部座席に寝かされていた。


まだ痛むお腹をさすりながら上半身を起こすと、さきほどの黒服の男が運転席と助手席に座っているのがわかった。


「あ、あのぉ……」


あたしは恐る恐る2人に声をかける。


ひ弱なあたしを誘拐するなんて、どれだけ卑怯でなにをしてくるかわからない。


「なんだ、起きたのか」


助手席に座っていた男が顔だけこちらへ向けてそう言った。


男は耳に沢山ピアスをしていて、頬には切り傷があった。


「お、おはようございます」


『起きたのか』と言われたもので思わずそんな返答をしてしまうあたし。


その瞬間、助手席の男は声をあげて笑った。


「変な女だな。誘拐されたってのに緊張感がないみたいだな」


「はぁ……。あ、あの。これって【黒龍】の総長を呼び出すための手段ですよね?」


「ん? あぁそうだ。よくわかってるじゃねぇか」


やっぱり、そうなんだ。