『さっき、あたしに伝えたかったことは他にありませんか?』


とか?


それで『なにもない』って言われちゃえば会話はおわってしまう。


かといって『別れないんですか?』なんて聞くことも、あたしにはできない……。


結局なにもいい解決方法を見つけ出すことができなくて、あたしは携帯電話を閉じてしまった。


そのままベッドに仰向けに横になってため息を吐き出す。


好きな人が何を考えているのか理解できないのって、こんなにも不安になることなんだ……。


今まで何人かと付き合ってきたけれど、やっぱりあたしにとって先生は特別みたいだ。


こんなに色々と考えて、悩んだ経験は初めてのことだった。
今までの恋愛経験が全然通用しない。


それどころか、まるで恋愛初心者みたいにオドオドしていることばかりだ。


「先生の気持ちが全然わかんないよ……」


そう呟いて寝返りを打ったときだった。


窓の外からあたしを呼ぶ声が聞こえてきてハッと体を起こした。