☆☆☆

その後、あたしはどうやって自分の家に帰って来たのかまるで覚えていなかった。


遠い道のりをトボトボ帰って来たのか、途中からバスを使ったのか、さっぱりわからない。


けど、気が付けば自分の部屋にいた。


見慣れた部屋にホッとすると同時に、止まっていた涙がまたあふれ始めた。


「あたしの……せいなのに……っ!」


すごく大切にしていた。


先生への気持ち。


この関係を本物にしたいと思っていた。


それなのに……。


それを、あたしは自ら手放してしまったんだ。


泣きながらベッドの上にダイブして枕に顔をうずめる。


こうすると泣き声が小さくなって、思いっきり泣けるから。


「あぁーっ!!」


くぐもった声で悲鳴に近い鳴き声を張り上げる。


自分の手からなくなってしまったのに、どうしてこんなに先生の顔が浮かんでくるんだろう。


夜の顔も、昼の顔も。


両方とも大好きだった。