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それからカンナと少し話をして、それぞれ家に帰ることになった。


さすがに昨日帰っていないから今日は早く帰らなきゃいけない。


そう思い、ベンチから立ち上がる。


「あたし、コンビニに行く途中だったの。じゃぁね、詩」


「うん。カンナ話を聞いてくれてありがとう」


「気にしないで、話してくれて嬉しかったから。また何かあったら言ってね」


「うん」


あたしたちは手をふり、その場で左右へと別れた。


カンナに打ち明けたことで随分と心が軽くなったあたしは、自然と笑みがこぼれてくる。


こんなことなら、もっと早くカンナに話せばよかったかな。


なんて思っていたのだけれど……。


公園を出たところでその考えは簡単に砕け散ったのだ。


「……先生……?」


公園を出てすぐの場所で、柳本先生が立っているのが目に入った。


あたしは驚いて立ち止まる。


先生は無言のままあたしを見つめ、そしてポケットからあたしの携帯電話を取り出した。