学校から家まで半分ほど帰って来た時、あたしはふと忘れ物をしている事を思い出し、立ち止まった。


「詩、どうしたの?」


驚いてカンナも立ち止まり、こちらを見た。


「やば……あたし学校に忘れ物しちゃった!」


帰るときに眠気でぼんやりしていたから、今日出された英語のプリントを忘れてきてしまったのだ。


その場でカバンを開いて確認するけれど、どこにも入っていない。


英語の先生は口うるさく、面倒だから宿題を忘れるワケにはいかないのに。


「あたし、学校に戻って取ってくる。かんなは先に帰っていていいから」


「うん。気をつけてね」


カンナに手を振り、あたしは来た道を速足で戻って行ったのだった。