先生の唇から一旦身を離し、そして汗の流れた首筋に唇を近づけようとした……その時だった。


不意に先生の腕があたしの体を抱きしめてきたのだ。


ハッとして身を離そうとするけれど、その手はあたしを抱きしめて離さない。


さっきは体温計を持つことさえ困難だったのに、この腕力は一体どこから出てくるのかと驚いてしまう。


「先生……?」


「悠真……だろ」


さっきまでのやりとりはしっかり覚えているみたいだ。


「悠真。熱まだあるでしょ? 大人しくしてなきゃダメだよ」


「キスして人の事起こしたのは……詩だろ」


耳元でそう言われ、あたしはカッと熱くなるのを感じた。


「……すぐに目が覚めてたの?」


「……あぁ」


「……いじわる」