「これで完成」


お鍋の中で出来上がったポトフの味見をして、「おいしい」と、呟く。


これなら先生も喜んで食べてくれるかも。


あとはおかゆを作って完成だ。


炊いたご飯で作るおかゆは短時間で作ることができる。


先生が食べる前に作ったほうがいいかな?


そう思い、あたしはそっとドアを開けた。


ベッドの布団が規則正しく上下しているのが見える。


まだ、寝ているよね。


そっと近づいていくと、先生が少しだけ唇を開いて眠っているのがわかった。


思わず、その唇に視線が釘づけになってしまう。


ふっくらとした唇。


開いたところから除く八重歯。


それらを見ていると、先生とのキスを思い出してあたしはそっと自分の唇に触れた。


暖かくて少し湿っていて、タバコの香りがする大人のキス。


あたしは、自分の唇に触れていた指先を先生の唇へと伸ばした。


指先が、微かに先生の唇に触れる。