解熱剤を使った先生はしばらくすると寝息を立て始めた。


あたしは先生の額に濡らしたタオルを置いて、汗を拭いたりしていた。


両親にはすぐに帰ると伝えたけれど、このままほっておいて帰るワケにはいかない。


あたしはお母さんに帰りが遅くなるという内容のメールを送った。


「早くよくなってね」


寝息を立てている先生の頬にそっと触れる。


いつもより高い体温。


長いマツゲに涙がくっついてキラキラ輝いている。


まるで宝石みたいだ。


そんな先生にしばらく見惚れていたあたしだけど、ふと思い立って台所へと向かった。


1人暮らし用の小さな冷蔵庫を開けると、中にはレトルト食品が数種類。


それにお酒が入っている程度だった。


栄養のあるものがまるでなくて、あたしは思わずため息を吐き出す。


男の1人暮らしってこんなものなのかな?