イケメン先生は危険男子でした!?

仕方ない。


あたしは先生のパジャマに手をかけた。


「詩……大胆だな」


荒い息遣いで先生はそんな冗談を言って笑う。


「何言っているのよ! あたしはそんなエッチな子じゃありません!」


でも、先生の口から冗談を聞けたことに少しホッとする。


思ったより、大した病気じゃないかもしれない。


先生の脇に体温計をセットして「よし」と、呟く。


「胸元を開けて……誘惑してきたくせに」


「もう、やめてよ」


笑いながらそう言う先生に、あたしは赤面してしまう。


あの時は先生に少しでも近づきたくて、振り向いてほしくて必死だったんだ。


「でも……嫌いじゃなかったぞ」


「え?」


「……一生懸命な詩。可愛かった」


そんな事を言う先生に、あたしの胸はギュっと締め付けられる。


愛しさが込み上げてくるのがわかる。


あたしの我儘からはじまった関係なのに、どうしてこんなに優しいんだろう。


こんなに弱っているのに、まだ他人に優しくしてくれる先生にあたしは何も言えなくなった。