玄関先を見てみると、見慣れた先生の靴が置いてあった。


ってことは、中に先生はいるってことだよね?


「先生、詩です。入っていいですか?」


周辺には聞こえないように、少し小さな声でそう言う。


けれど、やっぱり返事はない。


玄関は鍵がかかっていないし、靴はある。


なのに返事はない。


絶対におかしい。


あたしは玄関に置いてあった野球のバッドをグッと握りしめた。


先生は【黒龍】の総長だ。


なにか危険な目にあっている可能性もある。