先生の部屋は2階の一番奥の部屋だった。


表札に書かれた【柳本】という名前にドキドキする。


先生……いるかな……。


謹慎中と言っても1人暮らしだし、食品の買い物くらい出かけたりするだろうし。


もしかしたら留守かもしれない。


そう思いながらインターホンに手を伸ばす。


【資料室】のドアをノックする時と同じように、心臓がドキドキしてうるさいくらいだった。


このままポストに手紙を入れて帰ってしまおうか。


なんて、考えたりもした。


だけど、あたしはキュッと帽子を深くかぶり直して、インターホンを押したんだ。


緊張しながらしばらく待つが、返事がない。


やっぱりお出かけ?


そう思い、もう1度インターホンを押す。


「……いないのかな」


少しホッとするような、残念なような気持ちになる。