夢中で走って走って走って。


ようやくたどり着いたアパートの前。


あたしは肩で呼吸をくりかえし、その建物を見上げた。


クリーム色の外壁に、入口には綺麗な花壇が作られている。


明るい雰囲気のアパートだ。


「ここが……先生の住んでる所……」


少し落着いてから、そう呟く。


走ったせいなのか緊張のせいかのか、心臓はまだドキドキしていておさまりそうもない。


でも、ここでグズグズ時間を使っていると心が折れてしまいそうだ。


「よしっ!」


あたしは自分に気合を入れて、アパートの階段をのぼりはじめた。