カンナが彼氏と別れたと聞いた数日後の日曜日。


あたしは自室で出かける準備をしていた。


黒いジーンズに黒いドクロ柄のTシャツ。


髪はひとつにまとめてお団子にして、キャップの中に押し込んだ。


パッと見た感じじゃ若い男に見える格好。


バッグは持たず、携帯電話とサイフだけをズボンのポケットにねじ込む。


普段はポケットになにも入れないので、歩くたびに仲のものが落ちないか不安になった。


一階へ下りると、遅い朝食の匂いが食欲をくすぐる。


「あら詩。もうでかけるの?」


ご飯の準備をしていたお母さんがあたしの格好をして目を丸くする。


「うん。すぐに帰ってくるから、ご飯は後で食べるね」


「そう。行ってらっしゃい」


お母さんとお父さんも、柳本先生があたしのせいで謹慎処分になったことを知っている。


そして、あたしの今日のこの格好。