イケメン先生は危険男子でした!?

あたし、怖かったんだ……?


そう思うと体の芯がブルッと震えた。


「あ……たし……。ああいう場面初めて見たから……それでだよ」


そう言い、軽く笑顔を浮かべる。


しかしその笑顔も引きつっていたようで、悠真はあたしの頬にそっと触れた。


「想像するのと現実は随分と違うだろう? 俺は詩に無理をしてほしくないんだ」


「それって……」


『別れるってこと?』


その言葉が喉まででかかって、寸前の所で押し込めた。


あたしが悠真をつなぎとめている今の状態でそんな事を言うと、本当に終わってしまうかもしれない。


怖い思いをしても、あたしはまだ悠真に惹かれているという証拠だ。


「詩?」


途中で黙り込んだあたしに悠真が首をかしげる。


「な……んでもない! ここまで送ってくれてありがとう!」


あたしは今の気持ちが揺らがない内にそう言い、すぐに車を下りた。


振りかえらず、まるで悠真から逃げるように家へと入って行ったのだった。