開けられたドアの向こうに茶色い革のソファが見えた。


あたしは悠真の背を追うようにして慌てて【スタッフルーム】へと足を進める。


その部屋に入った瞬間、タバコの匂いが鼻をついた。


白い壁はところどころ黄色く変色していて、むき出しの裸電球が紐に吊るされて天井から下がっている。


革製のソファとその前に置かれている大理石のテーブルはいかにも高級そうで、見た事もない代物だった。


更に視線を巡らせて部屋の奥を見てみると、黒いコの字形のソファが置いてあり、そこに3人の男が座っているのが目に入った。


「誰だお前」


その中の1人があたしたちの存在に気が付き、ソファから腰を上げた。


サングラスをかけた金髪の男だ。


ここの制服なのか、みんな黒いスーツを着ている。


それはまるでアクション映画のワンシーンのようで、あたしはその場に息を殺して様子を見守るしかできなかった。