仲間をおとしいれた犯人をがむしゃらに探すのではなく、すでにある程度の目星がついていたみたいだ。


先生の車はスムーズに発進し、隣街へと続く大きな道へと出た。


「悠真は犯人を知っているの?」


睨みつけるように前を見て運転している悠真の横顔へ向けて、あたしはそう聞いた。


「あぁ。山口から暴行を加えてきた1人の身体的特徴を聞き出して、それを元に暴行犯の1人を突き止めたんだ。


そいつから話を聞くと、どうやら隣街で暴れまわっている連中が絡んでいるということがわかった」


悠真は前を見つめたまま、そう説明してくれた。


「そうなんだ……」


もう、そこまでわかっているんだ。


それなら犯人はすぐにでも捕まえられるかもしれない。


そう思うと、ホッとすると同時に心臓が緊張でドクドクとはねた。


今日目の前でどんなことが起こるのか、予想もつかない。


そうこうしている間に車は隣街の看板を通りすぎ、すでに眠っている街へと入って入った。