3人で移動した先は屋上へ続く階段だった。


いつものように薄暗く、埃っぽい。


あたしたちはその階段の途中で足を止めた。


「で、問題ってなに?」


「昨日、【黒龍】のメンバーの1人が袋叩きにあったんだ」


杉田君がそう言い、あたしは目を見開いた。


「袋叩き……?」


複数人で1人を攻撃することだ。


その光景を想像しただけで背筋がゾクッと寒くなる。


「あぁ。そいつは今入院してる」


杉田君が言葉を続ける。


「入院するほどひどいの?」


「足と腕を骨折しているんだ」


「そんな……。その子、なにをしたの?」


問題は袋叩きにあった理由だ。


【黒龍】のメンバーが何か悪いことをしてターゲットになったのだとしたら、それは仕方のないことだから。