咄嗟に教室内を見回す。


このタイミングで2人が来ると、またあらぬ噂をたてられてしまうかもしれない。


そう考えたあたしは2人が教室へ入ってくる前に、自分から廊下へ出た。


今まさに教室へ入ろうとしていた2人が驚いて目をギョッと見開いている。


「あたしに、なにか用事?」


あたしはそう聞きながら、後ろ手にドアを閉める。


「あぁ……実はちょっと問題が発生してるんだ」


安岡君がすぐに真剣な表情を浮かべてそう言った。


「問題?」


あたしは首をかしげる。


「【黒龍】のことだから黙っていようかとも思ったんだけれど……。柳本さんの彼女のあんたにも説明した方がいいような気がして」


【黒龍】の問題……?


あたしはその言葉にすぐに返事はできなかった。


あたしが勝手に首を突っ込んでいい問題なんだろうか?


でも、こうして2人があたしのところまで来てくれたんだ。


話をきくくらい、してもいいかもしれない。


そう思い、あたしは「場所を変えて聞くわ」と、言って2人と


一緒に教室から離れたのだった。