昼休み、あたしは親友の小松カンナ(コマツ カンナ)と一緒に学校の中庭でお弁当を広げていた。


中庭は芝生になっていて、今の季節だと沢山の生徒たちがレジャーシートを持ってきてここでお弁当を食べている。


外だから熱いと思われがちだけれど、四方を校舎で囲まれているため、日陰になっていてちょうどいいのだ。


「ねぇ詩。今日の小テストどうだった?」


「あたし? 満点だったよ」


「嘘!? 今日のテストって難しかったよね?」


カンナはそう言い、テスト結果を思いだしたようで顔をしかめた。


「そうかな? まぁカンナは柳本先生に興味がないから、どうせ数学もロクに聞いてないんでしょ?」


あたしがそう言うと、カンナはフフッと笑って「そっか。詩は先生のこと……」そこまで言い、言葉を切る。



ここは他の生徒が多いから『好き』という言葉を遠慮してくれたみたいだ。


「恋をすると勉強もできるようになるんだねぇ」


カンナはそう言い、うらやましそうにあたしを見た。