真夜中に先生が連れて来てくれたのは、集会所のあった丘よりも更に高い山の上だった。


山の上と言ってもちゃんと道がついていて、ハイキングなどによく使われている山だった。


山の頂上には展望台があり、2人でそこに登って街を見下ろすと、綺麗な夜景と星空が同時に見ることができた。


「わぁ……すごぉい」


商店街のネオンがキラキラと輝き、真っ暗な闇の中に浮かんぶ島のように見える。


「ここ、俺のお気に入りの場所なんだ」


先生は表情を柔らかくしてそう言った。


「そうなんだぁ……」


キラキラと輝く街と空。


ずっと見ているとその境界線はなくなり、まるで自分が星空の中にいるような錯覚を覚える。


それと同時に、少しずつあたしの中に不安が広がっていくのがわかった。


先生にとって特別な場所……。


それって、なにか思い出があるって意味なのかな?


こんな綺麗な場所だから、昔の彼女と一緒に来た事があるとか?


そんなマイナスな考えが湧いてくる。