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小テストの採点は15分ほどで終わり、後は1人づつ名前を呼ばれて返却されていった。


テストを受け取って笑顔になる子。


肩を落とす子。


点が悪くても笑ってごまかす子。


どんな子にも、先生は平等に優しく声をかけて行く。


そして、あたしにも……。


「野上」


「はい」


呼ばれて、席を立つ。


渡された小テストは満点で、小学生のように大きな花丸が書かれている。


「子供じゃないんだから」


「ははっ! よく頑張ったな」


先生はそう言い、あたしの頭をポンッと撫でた。


その大きな手に、ドクンッと心臓がはねる。


今までだって異性と付き合ったことはある。


手をつないだり、キスをしたことだってある。


でも……。


どうして先生に頭を撫でられるだけで、こんなにも幸せで、嬉しくて、泣きそうになるんだろう……。