「こんなところに倉庫なんてあったんだ……」


「柳本さんが後から作ったんだ」


杉田君がそう答える。


「へぇ……。え? てことはここって……」


「柳本さんの土地」


安岡君が続いてそう答えてくれる。


あたしは目を丸くして「先生の土地!?」と、大きな声を出してしまった。


だって、この丘は小さい頃よく遊びに来ていたんだもん。


友達との沢山の思い出がある丘だ。


「野上、知らないのか? 柳本さんの実家はこの辺一帯の地主だぞ」


「そ……そうなんだ」


安岡君の言葉に、あたしはただ目をパチクリさせるばかり。


そんな話初めて聞いた。


「ってことは、先生の家ってかなりお金持ちなんだね」


「あぁ。あそこに新しく建ったマンションがあるだろ? あれも柳本さんの土地なんだ。


それに柳本さんはこの街のいろんな施設に寄付をしているんだ。


だから、そんな街で好き勝手ふるまうやつらが許せなくて、血の気の多い奴らを自分の手で束ねることにしたらしい」