それから数分後。


あたしは安岡君と杉田君に連れられて家の近くの空き地に来ていた。


2人ともここにバイクを置いているらしい。


空き地には話通り中型くらいのバイクが2台止まっていた。


「すごい……あたしこんなバイク乗ったことない」


そう言うと、安岡君は「だろうな」と、笑った。


「どっちの後ろに乗る?」


杉田君がそう言い、バイクの座席の下からヘルメットを取り出す。


え……。


あ、そっか。


ここからバイクで移動するってことは、どちらかの後ろに乗らなきゃいけないんだ。


「どっちでもいいよ?」


あたしがそう返事をすると、杉田君は少し視線を伏せた。


「ははっ。野上は柳本さんにしか興味ないって。諦めろ」


安岡君が笑いながらそう言い、杉田君の肩をポンポンと叩く。


まるで慰めているように見えるけど、なんのことだろう?


1人でキョトンとしていると、安岡君がバイクにまたがって後部座席に乗るように合図してきた。


じゃぁ、お言葉に甘えて安岡君に乗せてもらおう。


そう思い、あたしはバイクの後ろにまたがったのだった。