それからも先生とのドライブを1時間ほど楽しみ、あたしは自分の家まで戻ってきていた。


楽しい時間はあっという間に過ぎていくから、なんだか車から降りるのがもったいなく感じてしまう。


「どうした?」


なかなか車から降りようとしないあたしに、先生がそう聞いてくる。


「ううん、なんでもない」


これ以上一緒にいたいと願ったら、また先生に迷惑をかけてしまう。


だからあたしは、もっと一緒にいたいという気持ちを押し込めて車のドアを開けた。


「先生、楽しい時間をありがとう」


「なんだよ改まってそんなこと言って」


あたしの言葉に、先生はおかしそうに笑う。


「本当に感謝しているってことでしょ?」


「そうなのか? ドライブくらいいくらでも連れて行ってやるから、遠慮せずに言えよ?」


「……うん、ありがとう」


先生と生徒というへだたりなんて感じさせない言い方に、あたしは少しホッとしてほほ笑んだ。


先生があたしに一人の男として接してくれているようで、すごく嬉しい。