あたしの説明に先生は納得して頷く。


「で、その犬は?」


「走って行っちゃいました……」


そう言うと先生は空いている助手席を指さして「じゃぁ、乗れば? 探してやるよ」と、言ったのだ。


「え……」


先生の車の助手席……!?


そんなシチュエーションになれるなんて思ってもいなかったあたしは、茫然としてしまう。


「嫌ならいい。自力で探せ」


「い、嫌じゃないよ!!」


あたしは慌ててそう言い、先生の車に飛び乗った。


車の中は先生の香水とタバコのにおいがして、この空間にいるだけでドキドキした。


「いじってるから乗り心地悪いかもしれないけど、我慢しろよ?」


「全然大丈夫です」


助手席に乗れたということが嬉しすぎて、ニッコリとほほ笑む。