あれ?


怒ってない……?


「お前の友達の小松から聞いたんだけど。お前が安岡と杉田に脅されてるのかもって」


「そ……それはカンナの勘違いだよ!」


あたしは首を左右に振って慌てて否定した。


「本当に、本当か?」


今度はあたしを疑うような目で見てくる先生。


あたしは何度も深く頷き「本当の、本当」と、返事をした。


その途端、先生はまるで糸が切れた人形のようにその場にへたり込んでしまった。


「なんだぁ……勘違いかぁ……」


「せ……先生? 今日あたしをここへ呼んだのって……」


「お前を心配したからに決まってんだろ」


そう言い、先生立ったままのあたしの腰に腕を回した。


あたしのお腹に頬をくっつけて、ギュッと抱きしめてくる。


それはまるで小さな子供のような仕草で、あたしはフフッと微笑んだ。


「俺、お前があいつらに脅されてるのかもって思った時、心臓が止まるかと思った」


先生のその言葉に、ドキッとする。