「な、なに?」


まるで拝むような体勢に、あたしはたじろく。


「頼む詩! テスト作るの手伝って!!」


そう言い、合わせた手の向こうでニカッと笑う。


その瞬間、あたしの顔はカーッと熱くなって行く。


なに、その可愛い笑顔!!


そんなの断れるワケないじゃん!!


「で、でも先生? 生徒がテストを作るのを手伝ってもいいんですか? も、問題バレちゃいますよ?」


「ん? だって詩、お前勉強教わりに来たんだろ? ついでに勉強教えてやれるし、一石二鳥じゃん?」


「はぁ? なんですかその考え方。全然答えになってな……」


あたしは途中でグッと先生に引き寄せられて、最後まで言葉を続けることができなかった。


かわりに体のバランスを崩し、先生の机に手をつく。


その隣には、ニコニコと微笑んでいる柳本先生……。


「な? いいだろ詩? ってか、強制ね?」


そう言い、あたしに数学の教科書を差し出してくる。