……さて、開いてるかな?


ガラガラッ


開いてた…ってことは、あいつがいるんだよね。


ちょっと奥に進むと、体育マットに寝そべり漫画を読む青年がいた。


「……なに読んでんの?ヒロ」


あたしが寝そべる青年…伊吹ヒロに声をかける。ヒロはあたしをチラッと見て、また漫画に視線を戻した。


「ちょっとヒロ?聞いてる?」


「………うるせーな。俺いま忙しいの」


「忙しいって漫画読むことが?ぜんぜん忙しくないよね、それ!ヒロって変なの~ウケる」


「うるせーな。お前に忙しく見えなくても、俺にとっては忙しいの。だからキャンキャン吠えるんじゃありません」


ヒロはシッシと手をふって追い返す。あたしは犬か!犬扱いするな!!