「……今。なんかごちゃごちゃ言ったけど、結局は、俺」
トン、と指同士が軽く触れたかと思うと、真咲はいつもみたいに、あたしの手を握った。
真咲にしては、熱い。
それって、照れてるからなの……?
「――ココが好き」
……きゅっと締め付けられた胸。
少し痛いくらいに。
そんな痛みは、大森に告白された時には感じなかったのに。
トクトク鳴る心音は、どんどん速くなってく。
……なにこれ、病気?
「あたし……」
真咲のことは、好きだよ、人として。
でも、真咲の言ってるのは、もちろんその“好き”じゃない。
あたしは、なんて言ったら……
「……そういえばさ。今日は、もうオトナの時間だな」
あたしがなかなか答えの出せずにいると、その緊張をほぐすかのように、真咲がのんびりと言った。
そういえばいつか話した。
子どもでもない、大人でもない、あたしたちの時間は、オレンジ色の夕方だって。
そう考えれば、確かに今日はちょっと背伸びしてるかも。
だからって、急に大人になれるわけじゃないけど……

