コドモ以上、オトナ未満。



どくん、とあたしの心の中の何かが、真咲の言葉に反応した。

それはきっと、三日月のように欠けた部分。

太陽に近づいて、一瞬輝けたとしても……結局はまた暗い部分を増やしてくだけ。

あたしたちはそういう宿命なんだって、思い知らされた気がした。


「じゃあ……どうすればいいの?」


あたしは急に、命綱を取り上げられてしまったように感じて、心細くなった。

さっき、キレイだと思った、花火の色に光る大森の髪。

それも、今ではただの金髪だ。

あたしは今まで何を見ていたんだろう。


「……ゴメン、それはわかんないんだけど。でも、たぶんさ」


真咲の後ろでたくさんの花火が打ちあがる音がして、空が一斉に明るくなった。

それに気づいた真咲は、あたしの隣に並んで、花ざかりの夜空を見上げて言う。



「どーにかなる日は、絶対に来る」

「……真咲」



たったひとこと。

しかも、なんの根拠もないセリフ。

なのに、あたしは一筋の光をそこに見つけた気がした。

それはきっと、大森とキスしても、得られなかったもの。



「……あのさー。俺、そろそろ喋っていい?」



ぱっと横を向くと、その大森が腕を組み、苦笑しながらあたしたちを見てた。


「賢人。……うん、そろそろお前の発言を許す」

「わざとムカつく言い方すんな、アホ」


真咲に悪態をつきつつ、大森が次に言った言葉はこうだ。


「俺さぁ。お前が来た時点で、てっきりココちゃんへの告白が始まるもんだと思ったんだけど」