「あれ……? コレ」
一番右端に描かれた人影と、いちばん左端に描かれた人影。
そのふたつは不自然な感じに切れていて、どうやら繋がっているようだった。
硬い素材に描いてあるから丸めるわけにはいかないけど、もしこれが紙で、端と端が合うようにくるっと丸めたなら……
「……手、つないでんだ」
頭の中で合わせたつなぎ目で、ふたつの人影は手をにぎりあっていた。
それがわかると、不思議とこう思う。
……さっきまでの、俺とココみたい。
いや、“みたい”――じゃないか。
これを完成させたのはクラス全員だけど、下絵を描いたのはカナコちゃんだ。
きっと、わざとそうしてくれたんだ。俺らがこうなるなんて、彼女は思ってもなかっただろうからな
俺はしばらく絵の前で立ちつくし、記憶にしっかりと焼き付けると。
「……そろそろ、行くか」
自分のクラスに戻ろうと体の向きをを変え、扉に向かって歩き出した。
すると――
「ちょい待て。大馬鹿野郎の心矢」
誰もいるはずのない背後から声が聞こえて、振り返るとベランダに面した窓から「よっ」と身をひるがえし入ってきた他校生。
「賢人……お前、一般公開の時間とっくに終わってるんだけど」
「んなこと知ってるっつーの。お前らがアホすぎるからわざわざ残っててやったんだよ」
「……お前ら?」

