「うちのクラスの絵、すっげぇキレイだから。入ってって?」


他校の女子集団にそう言ってにこっと微笑めば、「きゃぁ~!」という悲鳴が上がり、簡単にお客をゲット。

朝からこれ、何回やればいいんだろ……

実行委員だからと周りに乗せられて引き受けた仕事だけど、ただの客寄せパンダだよなぁ。

ぽりぽり頭をかいてちらりと斜め下に目をやると、そこには受付用の机が置いてあって、同じく“実行委員だから”と仕事を押し付けられているココがそこに座っている。

今の女子たちの名前をノートに書いてから、つまらなそうに頬杖をついた彼女がひと言。


「……アンタのおかげで忙しくてしょーがないんだけど」

「いいじゃん。ヒマすぎるよりは」

「そうだけど……他のトコも少しは見たいのに。美術部とか」

「あ、カナコちゃんか。……いいよ、俺受付もやっとくから見てきて」


本当は、こういうのカノジョと一緒に回るの、憧れてたけど……

もう、俺らはそういう関係じゃないし、それを望んだのは俺だ。

最後になって決心ニブるとかださすぎるし、今日も普通のクラスメイトとして振る舞って、ココとの別れはあっさりしたものにしようって決めてるんだ。