目に映るのは、真咲と、京香さんが抱き合う姿。
どうしてそんなことになってるの……?
いくら考えてみても、あたしには全然、理解できなかった。
「……なに、してんの」
喉の奥からようやく絞り出した声が、視線の先の二人に届く。
パッと身体を離した二人は、そろって焦った表情をした。
「ココ……今のは、違うんだ」
「ココちゃん……あのね、心矢くんは悪くないの。これは、私が……」
――誕生日は、とにかく憂鬱なもの。
やっぱり、今年もそうなんじゃん……
ばかみたい、あたし。
あんなにワクワクして……ばかみたい。
バタン!と音を立て、入ってきたばかりの扉を、逃げるように出て行くあたし。
真咲が追いかけてくるかどうかも気にせず、ただ街中を突っ切るようにして走った。
しばらく走って、これ以上走れないって思って立ち止まると、そこはちょうど公園の前。
誰もいないベンチに腰を下ろすと、せきを切ったように涙が溢れてきた。
「……っ、う」
……さっきのは、一体なんだったの?
真咲は、あたしのことからかってたの?
……本当は今でもずっと、京香さんが好きだったの?

