一方ディアランは面白くなかった。

…いつまで笑ってるんだ。

悔しい思いで愛世を見ていたがやがて我慢できなくなり、荒々しく彼女の腰をさらうと胸に抱いた。

「きゃあ、ディアラン!」

「もうダメだ。笑いすぎの、罰だ」

「っ……!」

ディアランは愛世を見つめて思った。

そう、アイセ。これは罰だ。

俺を焦らす、罰。

ディアランは端整な顔を傾けると、愛世に優しく口付けた。

……ディアラン……!

ディアランの唇が熱くて、愛世は眼を見張った。

でも嫌じゃない。

理由はよく分からなかったけれど、ディアランの逞しい身体や熱い唇も嫌ではなかった。

唇を離すと、再びディアランは愛世を見つめた。

潤んだ漆黒の瞳が、こちらを見上げている。

たちまちカアッと顔が熱くなり、ディアランの胸が高鳴る。

ダメだ、これ以上見ていられない。

ディアランはもう一度愛世を抱き締めた。

今度は、少しきつく。

「ディアラン……?」

返事は返ってこないが、鍛え上げた逞しい腕を感じて愛世は安心した。

彼の胸の中で、再び眼を閉じた。