スセリの花冠

……まずい。

このわざとらしい咳払いの主は……。

二人が振り返ると案の定、そこには馬にまたがりこちらを見下ろすディアランの姿があった。

「ディアラン様」

セロは慌てて片膝をつくと、頭を垂れて眼を伏せた。

それから絶望的な気分に陥る。

ああ、またしても俺の給料が…。

一方ディアランは、そんなセロを一瞥して思った。

以前から思ってたが……それにしてもこの二人は仲が良すぎる。

「警護終了だ。アイセ、行くぞ」

ディアランは腕を伸ばして愛世の腰に手を回すと、軽々と馬の背に持ち上げた。

「行くって、何処に?」

チラリとセロを見て、ディアランは早口で答える。

「誰にも邪魔されない所へだ」

その言葉に、セロが思わず口を開いた。

「恐れながらディアラン様」

「なんだ」

これはアイセのためだ。今月の給料は……潔く諦めよう!

「アイセはまだ傷が癒えておりません。もう少し、」

最後まで聞かず、ディアランは手綱をさばいて馬を返した。

……なんなんだ。

セロまでマーザになっているじゃないか。