スセリの花冠

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「アイセ」

神殿から出たところで名を呼ばれ、愛世はアルファスの姿を見つけた。

「アルファス…」

愛世はアルファスに頭を下げると、涙が出そうになるのをこらえながら唇を開いた。

「アルファス、ありがとう。私のために須勢理姫を呼んでくれたのね」

アルファスは少し笑うと眼を細めて星空を見上げた。

「…お前は、この国の恩人だ。それに」

そこで一旦言葉を切り、アルファスは真顔で愛世を見つめた。

「それにお前は、兄の大切な人だ」

アルファス……!

一瞬切なげに黄金色の瞳を瞬かせたが、やがて思いきるようにアルファスは言った。

「近いうちに俺は東へ討伐に出る。その間、ディアランを頼んだぞ」

「……うん」

「アイセ。ディアランと幸せになれ」

そう言い残すとアルファスは、愛世の頭上の花冠に触れ、颯爽と踵を返した。

ありがとう、アルファス。

愛世はその気高い後ろ姿を、見えなくなるまで見つめた。


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揺れる松明の炎が、そびえる列柱を幻想的に照らす。