スセリの花冠

須勢理姫にとって、人間の思考を読むなど容易い事である。

なれど。

……それは無粋というものだ。

愛世を見つめる熱い眼差し、死ねると口にしたときの穏やかな瞳。

この男のこの言葉が真実であることなど、神でなくとも分かるではないか。

深入りする気はなかったが……考えが変わった。

須勢理姫は花のような笑みを浮かべると、その桜色の唇を開いた。

「ディアラン。こちらへ」

「……はい」

ゆっくりと愛世の隣まで来て片膝をつくと、ディアランは須勢理姫に頭を垂れた。

「頭を上げなさい、ディアラン」

言い終えると須勢理姫は、かぶっていた花の冠を取り、ディアランの頭にそっとのせた。

「これは、スセリノカカンといいます」

……スセリノカカン……。

ディアランは少し顔をあげ、須勢理姫を見つめた。

「スセリノカカンは、被った者が誰かの為にだけ願う事を叶えられます。ただ一度だけ」

ディアランは赤茶色の瞳を大きく見開き、須勢理姫を見つめた。

そんなディアランに、須勢理姫は優しく続ける。

「遠慮は要りません。さあ、願い事を」

「……はい」