スセリの花冠

須勢理姫は愛世と眼が合うと、花が咲くようにふわりと微笑んだ。

「アイセ。お久し振りですね」

「……はい、須勢理姫」

様々な花をあしらった冠をかぶり、珊瑚の耳飾りが揺れる須勢理姫のその様子は、愛世があの日見た姿と寸分たがわぬ美しさだ。

愛世は真っ直ぐに須勢理姫を見つめ、自分の思いを伝えた。

「須勢理姫。私はお陰様でとても幸せな人生を送る事ができました。もうとうに尽きていた命を須勢理姫が助けてくださって…本当に幸せでした」

須勢理姫は、微笑みをたたえたまま眼を細めた。

「…恋は出来ましたか?」

「…はい。とても素敵な恋でした。ですから誰も私の代わりになることはありません。須勢理姫、今……今私を連れていってください」

「駄目だアイセ!!俺を……俺を置いていくな!」

悲鳴のような声に視線を上げると、須勢理姫はディアランに眼を止めた。

それから小さく息をつくと、微笑みを絶やさぬまま美しい唇を開く。

「ディアランと申しましたね」

ディアランが一瞬だけ眼を伏せ、肯定する。

「愛世は……そなたにとってどういう存在なのですか」

須勢理姫の問いに、ディアランが噛み締めるように答えを返した。