その日の夕方、ユウキの親がどなりこんできた。

「お宅はいったいどんな教育をされているんですか！」

母はただただ謝り続けるしかなかった。

「本当に申し訳ありませんでした。手を出すなんて絶対にしてはいけないことです」

母は唇をかみしめ、頭を下げる。

ユウキの親は怒り覚めやまぬといった感じで、こう言い放った。

「常識の通用するご家庭のお子さんならこんなひどいことしませんでしょうにね」

母は顔を上げた。

「それはいったいどういう意味でしょうか？」

ユウキの親は全く引く気配はない。

「不倫の末生まれたお子さんだって噂、きっと本当なんでしょうね。こういう問題を起こすのも止むを得ないのかしらってことですわ」
　
母は黙ったまま、玄関にあった花瓶の水をユウキの親にぶっかけた。