幸のまるで他人事のような話しっぷりに、アキはいらだっていた。

両親の選択のために、学校でも小さくなっていたことを母親は知らないのだろうかと考えたら、腹が立って仕方なかった。

「でもね、そうなるには理由があったのよ」

「なにそれ?」

「アキには言わない方がいいかなって思ってたんだけど、アキももう大人の話もわかる年だもんね。納得いかないといやよね。自分の人生変わっちゃったんだし」

幸は箸をおき、しばらく遠くを見つめた。

「浮気とか?」

アキはおそるおそる聞いてみた。

「違うって。そんなことくらいじゃ私は別れないわよ!」

幸はまた吹き出した。

「じゃあ、何よ」

幸はにやりと笑い、右手のひとさし指と親指でわっかを作って見せた。