教室に戻ると、 窪野さんが私の席で眠っていた。 「あ、あの…。窪野さん、帰りましょう」 「…んー」 「…」 ふわふわの髪に少しだけ触れる。 「くすぐったいよ、あゆちゃん」 「あ、ごめんなさい」 「もっと撫でてー」 「…はい」 少しだけ力を入れて撫でると微笑んでいた。 「あの、バイト大丈夫なんですか?」 「あっ!」 「…ほら。先に行ってください。あいにく今日は走る気分じゃないんで。 待たせちゃったんですけど、でも先に」 「ほんっと、ごめん!」 窪野さんは謝ると、走って行ってしまった。