あゆみの悲しい声を思い出した。


それは結婚した夜のことだった。




『何言い出すんだよ』


『そらならきっと、前を向けるよ。私の子供を愛してね。

やりたかったこと、嬉しかったこと。全部私の子供にしてあげてね』





あぁ。


それがあゆみの願いなんだ。






あゆみは俺に沢山の愛をくれた。

そして俺もまた、注いできた。




「…バイバイ、あゆみ…」



泣きながら俺は、手術室に向かって呟いていた。