弟、時々恋、のち狼


涙を流す情けない姿まで見せてしまったのに、恥ずかしさに溺れることもなく。
怖いと思うどころか、逆にだんだんとリラックスして。


「んと……」


自然と声がこぼれた。


「えっと……」


それでも。
口下手なアタシはモゴモゴと言葉を選ばなくてはならない。

少し乾いて涙の跡のひきつれた頬が、やけに気になった。
考えが、まとまらない。


あぁ、もう。


言いたいことを伝えられないもどかしさだけが、アタシの胸に募っていく。


ーー夢を見るんです。


まず、そう、言いたいのに。

でも、その内容をうまく伝えるにはどう言えばいいのかが、わからない。

突拍子もない夢。
普通に考えれば、異常かもしれない、話し。

大丈夫。
思っていても、勇気のいることだった。