「ラッラ!!」


うちに帰るなり、アタシは自分の部屋に怒鳴り込んだ。

小さな窓から申し訳程度に降り注ぐ陽の中、眠っていたらしい小さな毛玉がわずかに動く。

アタシのお気に入りの、真っ赤なハートのふわふわクッション。
ベッド替わりにされていることを恨めしく感じる気持ちもあるけれど…………それは後回し。


「ラッラ!!」


カバンを放り出し、両手でふんわりつかみあげた。


「ミィ?」


鳴き声とも、アタシのコトともとれる声。
寝ぼけ眼が、ぱちりと開いた。

これがただの子猫なら、どれだけ可愛いことか。


「おかえりなさいませ」


ちょっと小首をかしげた姿に思わず頬がゆるみそうになり、ぐっとこらえる。