弟、時々恋、のち狼


白羽 要


五線譜の書かれた黒板に、白いチョークで大きく書かれた名前。


白羽……ロウ……無理やり抜き出せなくもナイ……。


どう、なんだろう。


有り得ない、と思うのに、妙に緊張する。
自分の中で、否定する気持ちがどんどん弱まっていくのがわかった。


やっぱり、そうだ。


そんな気すら、してくる。


……だって……。


思い出してしまったから。


心臓が一つ大きく脈打つと同時に、スゥッと体中の血が引いた。
指先が、一気に冷たくなっていく。


だって…………。

さっき先生は……アタシの名前を、呼んだ。


音楽室に入ってすぐ。

立ち尽くすアタシの名を。

まだ、名簿での確認もしていないのに。