弟、時々恋、のち狼


ーーロウ


そう呼ばれた、人物。


声で、音楽担当教師が若い男の先生だということは感じていた。
落ち着いた、よく響く声。

でも…………。


テンションが違うと、こんなにも印象は変わるものなのだろうか。


何でここに?


有り得ない。
あんな不審者が学校にいるなんて。

本物?

見間違い、の可能性はある。
いくら印象的で忘れがたいとは言っても、何せ、一度しか会ったことはない。

アタシは今、ラッラのせいで過敏になっているのかもしれない。
王子様系なら、別人でも、きっと似ていると思い込んで……。


「……で、終わり。36人だね。とりあえずこれから一年間、よろしく。
では改めて、自己紹介をします」


ロウ、じゃない。
きっと。


「奇数クラスの音楽を担当するシロウカナメです」