ツカサに任せてしまえば、ここでの生活はとても楽だった。

架空の空間だ。必要なものがあれば何でもすぐに、元々そこにあったかのような顔で出てくる。

お腹はあまり空かなかった。
でも、時折、庭の果物を口にした。

何を考えても、無駄だ。
アタシたちにはこれが一番イイ。

制御できずに力を持つアタシと、アタシを通してしか力を振るえないツカサ。

こんなこと、誰も望んでなかった。
でも、か弱い人間になるのだから、考えてみれば、有り得ない可能性ではない。

ミィは……ロゥも、二つに分かれた。

ならば、アタシの半身はツカサだ。


ふっ……と、浅い眠りから目が覚めた。
枕の濡れた感覚に落ち込みながら、ゆっくりとその枕を裏返す。目元は大丈夫だろうか。
時折、こんなことがある。

間もなくやってくるだろうツカサには見せられない。

どんな夢だったのかはまったく思い出せなかった。悲しい名残もない。なのに、ただ、涙が流れている。


「…………?」


いつもなら目が覚めてほんの少しでツカサがやってくる。
アタシは、赤ん坊のようにツカサに支えられ、生かされていた。


「……ツカサ?」


けれど、足音は聞こえない。気配もない。


「や……ツカサ……っ!」


急激な不安に襲われて、アタシはベッドを走り出た。

素足がフカフカとした絨毯に頼りなく埋まる。