「変わった持ち物ってなかったよね?」


この場の大半は、申し合わせて家庭科クラブ。
一人が覚えてなくても、誰かは覚えているはずだ。
材料費を事前に一括徴収されているぶん買い出しは先生だし……。


「ナイよ。
ってか、ミフウ、大きめのハンカチ持ってたよね?貸してくんない?三角巾忘れてきちゃった」


「いいけど……さっき、手ぇ拭いちゃったから湿ってるかもよ?汚いし」


「いい、平気!!」


みんなでバタバタと教室に戻り、宿題のノートも含めてやりとりした。


なんだかもう、ツカサがいた日々はなんだったんだろう……っていうぐらい、普通に楽しい毎日。

ここ数日、ロウはまた忙しいらしくてなかなか二人きりになれず寂しいけれど、こんな、ごく普通の高校生活も、悪くない。
そもそも、記憶を持っているだけで、アタシ自身はごく普通の高校生なんだから。
あんなカッコいい、しかも学校の先生と付き合うことになるなんて……夢なんじゃないかと未だに思う。