傍らに積まれたガラクタのバケツが歪み、古いロッカーがカタカタと音を立てて震え出す。


まずい!!


反射的に目をつぶった。

次の瞬間には大轟音……


「隠れてるつもり?」


と。
聞こえたのは予想外の音。
嘲るようなツカサの声。


「……何?」


なぜここにいるの?
何しに来たの?


「別に」


どこで何しようがオレの勝手。

言外に、そんな雰囲気を漂わせ、ツカサはアタシの前にしゃがみこんだ。

このところとみに不遜さを増し続けているツカサは、もう、二人きりの時でさえ、滅多に敬語を使うことがなくなった。
ひたすら自分を中心に、好きなようにアタシをからかう。

はっきり言えば、意地悪で質の悪い「オレ様」。


「わかったでしょう?」


端正な口元に冷たい笑みを貼り付けて、ツカサが耳元でささやいた。

あまりの近さに、つい、身をひく。


「素直になればいいのに。ミフウにはオレが必要なんだ」


なぜこのところ突然、ミイではなくてミフウと呼ぶ気になったのかは、わからない。
けれど。
そう呼ばれると、なおのことドキリとする自分がいるのは事実で。