弟、時々恋、のち狼


「ロウは?」


嬉しそうにぎゅっとしがみついて、片割れの存在を確かめる。

あそこに。
泉を示すと、ねぼけた顔でぼんやり笑った。


「あとでね、ふたりにわたしたいものがあります」


濡れた体を拭きながら歩み寄るロウと共に首を傾げた。


「そう。それは楽しみだわ」


「さあ、ラッラの番だよ」


まずは部屋の中で休ませたい。
その思いはどちらも一緒。
そのためにはまず、どうしても、ロウが浴びたばかりの水に入らせなくてはいけない。


「……ん」


眉をひそめながらも、ラッラはむくりと体を起こした。
大事なことだと、ちゃんとわかっている。


チャポ……


足先だけ、そっとつけた。
5歳の幼女が入るには厳しい、冷たい泉。しかも、ラッラは年齢よりも背丈が小さく、身が細い。
眠りから覚めたばかりの暖かな体には、さぞや辛いことだろう。


「終わったらククのスープをいただきましょうね」


大好きな芋のスープは禊ぎのご褒美。
やったぁ、と顔をほころばせ、勢いをつけると、えいっ、とばかりに飛び込んだ。